プライバシーの権利

 プライバシーの権利は、元々は「そっとしておいてもらう権利」と定義づけられていました。
 しかし、情報技術の発達に伴い、現代社会においては大量の個人情報が収集・保有されるようになりました。そこで現代では、プライバシーの権利が情報のコントロールという側面から捉え直されています。このことから、「自己に関する情報をコントロールする権利」(情報プライバシー権)として再構成するに至っています。
 この観点から制定されたのが、個人情報保護法です。

【判例】前科照会事件

判決年月日など

 昭和56年4月14日・最高裁第三小法廷・判決

事案の概要

 原告は会社の従業員でしたが、解雇されたため、会社を相手取って地位保全の仮処分を申請しました。
 これを受けて会社側の弁護士が区役所に原告の前科・犯罪経歴の照会を行いました。
 区役所はこれを別の区役所に回付し、市長はこれに応じて、原告の前科・犯罪経歴について当該弁護士に回答しました。
 これに対し原告は、この行為はプライバシー侵害であるとして、損害賠償と謝罪文の交付を請求しました。

争点

 この事案では、前科を照会することとプライバシー権についてが争点となりました。

結論

 最高裁は、前科の照会は違法な行為にあたるとしました。

この事案のポイント

 最高裁は、前科などをみだりに公開されないというのは、法律上保護に値する利益であるとしました。また、この照会に漫然と応じた市区町村は、公権力の違法な行為をなしたとしました。

【判例】外国人指紋捺印事件

判決年月日など

 平成7年12月15日・最高裁第三小法廷・判決

事案の概要

 昭和56年、日系米国人の宣教師は、牧師活動をするために新規の外国人登録の申請を行いました。その際、必要な書類に指紋の押捺をしなかったため、外国人登録法により起訴されました。
 この宣教師は、外国人に対する指紋押捺制度を定めた外国人登録法の条項が憲法13条、14条、19条、31条に違反すると主張しました。

争点

 この事案では、指紋の押捺を強制されない権利は、13条のプライバシー権に含まれるかが争点となりました。

結論

 最高裁は、含まれるという判決を下しました。

この事案のポイント

 最高裁は、憲法13条で保障する国民の私生活上の自由の一つとして、みだりに指紋の押捺を矯正されない自由を有するべきとしました。その上で、国家機関が正当な理由もなく指紋の押捺を強制することは、同条の趣旨に反して許されないとしました。

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