通信の秘密

 通信の秘密とは、個人間の通信(信書・電話・電子メールなど)の内容及びこれに関連した一切の事項に関して、公権力がこれを把握すること、および知り得たことを第三者に漏らすなどを禁止することです。
 また、不特定多数への表現・情報の伝達にあたる検閲の禁止と対として考えられる場合も少なくありません。
 近年の通信事業者の民営化により、本権利にも、私人間効力を認める考え方が優勢です。
 通信の秘密の保障は、通信の内容はもとより、その差出人(発信者)または受取人(受信者)の氏名・居所および通信の日時や個数など、通信の全ての事項に及びます。
 刑法が通信業務に従事する者が職務上知り得た他人の秘密を守ることを命じているのは、通信の秘密の表れであるといえます。

通信の秘密の限界

 通信の秘密は絶対的なものではなく、限界があります。例えば、刑事訴訟法は郵便物の押収、破産法は破産者宛の郵便物などの破産管財人による開封、関税法は郵便物の差し押さえを認めています。
 これらの制限が憲法上許される必要最小限度のものかどうかについては、争いがあります。最も問題になるのは、いわゆる電話の盗聴などの通信傍受です。これには、司法官憲の発する令状によるものであっても、対象を特定することが困難であるから許されるという学説があります。
 一方で、以下の要件を満たす場合は、令状による盗聴・傍受を例外的に認めるとする見解が有力です。
①重大犯罪であり、人の生命・身体に直接危害を生ぜしめる犯罪に限定される
②犯罪捜査上の必要性・緊急性が高く
③特定の犯罪がすでに発生したか現に発生しようとしている
④対象となる事項・人物が使用する電話または場所の特定性が高く
⑤傍受期間や令状執行後の救済措置などについても別格の配慮がなされている

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