国や地方公共団体の相互関係

 平成11年に地方分権一括法が制定され、施行されたのに伴って、地方自治法も全面的に改正されるにいたりました。
 これにより、国の地方公共団体に対する関与などについて大幅な見直しがなされました。

国の関与に関する3大原則

 地方公共団体に対し国が関与する場合、以下の3つの原則を守らなければなりません。

法定主義の原則

 地方公共団体の事務に対して国が関与する場合、法律、または政令の根拠が必要です。

必要最小限度の原則

 国が関与する場合には、目的を達成するために必要最低限度のものにしなければなりません。また、地方公共団体の自主性、および自立性に配慮しなければなりません。

公正・透明の原則

 これは、国の地方公共団体への関与の客観化を図り、各地方公共団体に対する差別的・不利益的な取扱いを回避するための原則です。

国の関与の形態

 普通地方公共団体の事務処理に関与する場合、原則として国の行政機関、または都道府県の機関は、以下にあげる行為が可能です。

自治事務

 ・助言・勧告・資料の提出の要求・協議・是正の要求

法定受託事務

・助言
・勧告
・資料の提出の要求
・協議
・同意
・許可
・認可
・承認
・指示
・代執行

国地方係争処理委員会

 国地方係争処理委員会とは、地方公共団体に対する国の関与について、国と地方公共団体間の争いを処理することを目的に置かれる合議制の第三者機関をいいます。
 国地方係争処理委員会は、総務省に設置されます。

組織

・人数:5人
・選任:優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命
・任期:3年
・委員長:委員の互選により選任

審査対象となる国の関与

・是正の要求、許可の拒否その他国の公権力の行使としての関与
・国の不作為
・国との協議が調わない

審査の申出

 地方公共団体の長その他の執行機関は、国の関与に不服があるときは、当該関与があった日から30日以内であれば、委員会に対し、当該関与を行った国の行政庁を相手方として、文書により審査の申出を行えます。

審査の方法

 委員会は審査の申出があった日から90日以内に審査を実施しなければなりません。
 審査に際しては、必要に応じて、関係行政機関を参加させること、参考人に意見を陳述させること、証拠の鑑定、書類の提出要求等を行うことが可能です。

審査後の手順

 審査後の手順は以下の通りです。
 関与が違法または不当な場合は、委員会は、国の行政庁に対して必要な措置を講じるべき旨の勧告を行います。勧告には理由と期間が示されます。委員会は、それと同時に地方公共団体の長その他執行機関にも勧告に関して通知し、公表もします。
 関与に違法性も不当性もない場合は、委員会は地方公共団体及び国の行政庁に対して理由を付して通知し、公表します。
 審査の課程で調停による解決が可能だと判断した場合は、職権によって調停案を作成し、当事者に提示し、受諾するよう勧告することができます。

訴訟の提起

 地方公共団体は、以下の場合には、措置の通知、審査結果の通知があった日から30日以内に、高等裁判所に対して訴訟を提起できます。
・国が委員会の勧告に沿って行った措置に不満がある場合
・委員会の審査の結果に不満がある場合
 なお、審査申出を経ずに直接提訴することはできません。

自治紛争処理委員

 自治紛争処理委員とは、市町村に対する都道府県の関与などについての争いを処理する機関をいいます。

組織

・人数:3人
・任命:事件ごとに総務大臣または都道府県知事が任命する

独任性の原則

 自治紛争処理委員は、委員の一人ひとりが独任性の機関です。
 ただし、審査結果の決定など、委員の合議によることとされる事項もあります。

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