株式会社の設立

 株式会社の設立とは、株式会社という団体を形成し、株式会社が法人格を取得し、法人となることをいいます。
 発起人は、株式会社設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません。
 株式会社を容易に設立できるようにするため、出資額の規制はありません。

設立の種類

 会社法は、株式会社の設立について、発起設立と募集設立という方法を定めています。

発起設立

 発起設立とは、設立の企画者である発起人が、設立の際に発行する株式のすべてを引き受ける方法をいいます。

募集設立

 募集設立とは、発起人が設立に際して発行する株式の総数の一部を引き受け、残りは株式引受人を募集する方法をいいます。

定款の作成

 定款とは、社団法人の組織活動の根本規則をいいます。
 発起設立・募集設立のいずれの場合でも、発起人はまず定款を作成します。
 定款は、発起人により作成されます。
 発起人とは、定款に発起人として署名した者をいいます。
 発起人の資格に制限はありません。外国人、法人、制限行為能力者でも構いません。
 員数にも制限はなく、1人以上であれば可能です。
 発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません。
 定款は、発起人が作成し、発起人全員が、これに署名又は記名捺印しなければなりません。電磁的記録をもって作成することもできます。
 作成された定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。定款の認証後に定款を変更する場合は、認証は不要です。

定款の内容

 定款の記載事項には、以下の3種類が存在します。
・絶対的記載事項(記載がないと定款自体が無効)
・相対的記載事項(無効ではないが、記載しないと効力が生じない)
・任意的記載事項(記載しなくても効力は生じる)

変態設立事項

 変態設立事項とは、会社法28条に列挙される、相対的記載事項をいいます。
 変態設立事項は、発起人または第三者の利益を図り、会社の財産的基礎を危うくさせる事項です。そのため定款に記載・記録しなければ、その効力を生じません。
 変態設立事項には、以下のものがあります。
・現物出資
・財産引受け
・発起人の報酬・特別利益
・設立費用

定款の備置き・閲覧など

 定款は、本店・支店に備置き、発起人・株主・会社債権者の閲覧・謄写に供しなければなりません。
 親会社の株主も、権利行使のために必要がある場合、裁判所の許可を得て、子会社の定款について閲覧・謄写の請求をすることができます。

社員の確定

 株式会社における社員とは、団体の構成員であり、団体に対する出資者をいいます。
 株式会社の設立には、社員(株主)を確定する必要があります。

設立時発行株式に関する事項の決定

 発行事項については、原則として発起人の多数決で決定します。
 発行事項については、原則として発起人の多数決で決定できます。しかし、一定の事項は、発起人の全員の同意をもって決めなければなりません。

株式の引受け

 株式の引受けとは、株式会社の設立または新株発行に際して出資者となることをいいます。
 発起設立では、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けます。
 募集設立では、発起人が株式を引き受けるほかに、引受人を募集します。募集に対して申し込みがあると、割当てがなされ、引受が確定します。そして、引受人が払込みをすると、会社設立時に株主となります。

発行可能株式総数の決定

 発行可能株式総数とは、株式会社が発行することができる株式の総数をいいます。
 発行可能株式総数は、設立時の定款(原始定款)に定める必要はありません。しかし、会社の成立の時までには定款に定めなければなりません。

機関の具備

 機関の具備においては、まず、設立時役員等の選任を行います。
 設立時役員等とは、以下の役職をいいます。
・設立時取締役
・設立時会計参与(会計参与設置会社である場合のみ)
・設立時監査役(監査役設置会社である場合のみ)
・設立時会計監査人(会社監査人設置会社である場合のみ)
 選任の方法は、発起設立か募集設立かによって違ってきます。
 発起設立の場合、発起人の議決権の過半数が必要です。
 一方で募集設立の場合、創立総会の決議が必要です。

創立総会

 創立総会は、設立時株主の総会をいいます。
 募集設立の場合、発起人は、遅滞なく、創立総会を招集しなければなりません。
 一方で発起設立の場合は、創立総会の規定はなく、開催する必要はありません。
 創立総会の議決は、創立時株主の議決権の過半数で、3分の2以上の多数をもって行います。

会社財産の形成

 会社財産の形成における、出資の履行には以下の規定が存在します。

全額払込み・全部給付

 発起人は引受後に遅滞なく、募集株式の引受人は払込期日又は払込期間中に、引き受けた株式につき発行価額の全額の払込みをし、現物出資の場合はその全部を給付しなければなりません。

失権

 発起人および募集株式の引受人が、出資の履行をしない場合、設立時発行株式の株主となる権利を失います。

払込取扱場所・払込取扱機関による保管証明

 払込みは、発起人が定めた銀行・信託銀行等の払込み指定場所において行わなければなりません。これは、発起人の不正行為を防止して払込みの確実を図るためです。
 また、募集設立の場合は、発起人は払込取扱機関に対して保管証明書の交付を請求できます。
 保管証明書を交付した場合、払込取扱機関は払込金保管証明責任を負います。
 ただし、発起設立の場合は、払込金保管証明の責任を負う必要はありません。

変態設立事項の調査

 変態設立事項とは、株式会社の設立の際に、発起人が自己または第三者の利益を図って会社の財産的基礎を危うくする可能性のある危険な事項として、定款に記載するとともに、裁判所に選任された検査役の調査を受けなければ効力を生じない事項をいいます。
 変態設立事項については、原則として、発起人の請求に基づいて、裁判所が選任した検査役の調査が必要です。

法人格の取得

 株式会社が成立し、法人格を取得するためには、設立の登記が必要となります。
 会社の成立とともに、出資を履行した発起人・設立時募集株式の引受人は株主となり、設立時役員等は、会社の役員等になります。
 設立の登記における登記事項の代表的なものとして、以下のようなものなどがあります。
・目的
・商号
・本店及び支店の所在場所
・資本金の額
・発行可能株式総数
・発行する株式の内容
・取締役の氏名
・代表取締役の氏名・住所

設立無効

 設立登記によって成立した会社は、設立無効の訴えによってのみ、設立の無効を主張できます。
 設立無効の原因となる事由は、客観的無効原因、つまり、設立が強行法規・会社の本質に反する場合に限定されると解されています。
 設立無効の訴えを提起することができるのは、株主、取締役、清算人、執行役、監査役に限られます。
 提訴期間は、会社成立の日から2年以内です。
 設立無効の判決が確定すると、その判決は当事者だけでなく、第三者に対してもその効力を有します。また、将来に向かって設立の効力が失われるのであって、遡及はしません。
 無効原因となるのは、以下のような場合です。
・定款の絶対的記載事項が欠けている、その記載が違法である
・定款につき、公証人による認証がない
・株式発行事項について、発起人全員の同意がない
・創立総会が適法に開催されていない
・設立登記が無効
・出資された財産の価額が会社の設立に際して出資される財産の価額又はその最低額に満たない
・発起人が1株も株式を引き受けない

会社の不成立

 会社の不成立とは、設立が挫折し、設立登記まで至らなかった場合をいいます。
 会社不成立は、一般原則により処理され、誰でもいつでも主張できます。
 会社が成立しなかった場合、発起人は連帯して、会社の設立に関してした行為についてその責任を負います。
 そして、設立に関して支出した費用を負担することになります。

設立に関する責任

 会社の設立に関与した者の不正を防止するため、会社法は厳格な罰則を定め、重い民事責任を課しています。

出資した財産等の価額が不足する場合

 現物出資・財産引受の給付はなされても、その目的たる財産の実価が、定款に定めた価額に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は連帯して不足額を支払う義務を負います。

発起人等の損害賠償責任

 発起人・設立時取締役・設立時監査役は、会社の設立についてその任務を怠った時は、会社に対して、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。
 また、発起人・設立時取締役・設立時監査役は、その職務を行うについて悪意または重過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。

責任の免除

 財産価額填補責任、会社に対する損害賠償責任は、総株主の同意があれば免除することができます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする