株主総会

 株主総会とは、株主を構成員として会社の意思を決定する株式会社の機関をいいます。株式総会は、株式会社を作る上で必須な機関です。

株主総会の権限

 株主総会の権限については、取締役会を設置しているか否かで分けて考える必要があります。

取締役会非設置会社の場合

 取締役会非設置会社においては、株主総会は、以下のことが決議できます。
・会社法に規定する事項
・株式会社の組織・運営・管理
・その他株式会社に関する一切の事項

取締役会設置会社の場合

 取締役会設置会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項しか、決議することができません。

株主総会の招集

招集の時期

 株主総会は、いつでも招集することができます。
 ただし、定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければなりません。

招集権者

 株主総会の招集は、取締役が行うのが原則です。
 ただし、例外として、一定の要件を満たした株主は、取締役に対して招集の請求が可能です。さらに、この請求を会社が無視した場合、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができます。
 ここでいう、一定の要件とは、原則として総株主の決議権の100分の3以上の決議権を6ヶ月前から保有していることをいいます。ただし、株式が非公開の会社の場合、6ヶ月という制限はありません。また、これらの要件は定款で軽減・撤廃することができます。

招集の決定

 会社が株主総会を招集する場合、取締役会非設置会社では、取締役が日時、場所、株主総会の目的などを決定します。
 取締役会設置会社では、取締役会が決定します。

招集の通知

招集の通知の時期

 株主総会を招集するには、株主総会の日の2週間前までに、株主に対してその通知を出す必要があります。
 この通知は、非公開会社においては1週間前までとなります。さらに、取締役会非設置会社では、定款で1週間よりも短縮できます。ただし、どちらの場合も、書面投票・電子投票を定めた場合を除きます。

方法

 株主総会招集の通知は、以下の場合、書面または電磁的方法で行わなければなりません。
・書面投票・電子投票を定めた場合
・取締役会設置会社の場合
 それ以外の場合は、口頭・電話などの適宜の方法で連絡すれば足ります。

招集通知の際の提供書類

 取締役会設置会社は、計算書類および事業報告などを、招集通知の際に提供します。
 書面投票・電子投票を定めた場合は、以下のものを交付します。
・株主総会参考書類
・議決権行使書面(電磁的方法も可)

招集手続きの省略

 株主の全員の同意がある場合は、招集手続を省略して株主総会を開催できます。
 ただし、書面投票・電子投票を定めた場合は招集手続きを省略できません。なぜなら、この場合は、招集の通知に際して、議決権行使につき参考となる書面等の交付が必要だからです。

株主提案権

 株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができます。
 ただし、取締役会設置会社の場合、以下の要件を満たさなければ、上記の請求ができません。
・総株主の決議権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を有する
・上記の数の決議権を6ヶ月前から引き続き有している
・請求可能なのは株主総会の日の8週間前まで

議決権

 議決権とは、株主総会の決議に加わる権利をいいます。
 株主は、株主総会において、その有する株式1株につき1個の議決権を有します。これを1株1議決権の原則といいます。
 ただし、非公開会社では、定款の定めによる異なった取扱いが認められます。例えば、1人1議決権などにすることも可能です。

議決権を有しない、または行使することができない場合

 以下の場合には議決権を有しない、または行使することができません。
・単元未満株主である場合
・決議権制限株式の株主である場合
・自己株式である場合
・相互保有株式である場合
・特別な利害関係を有する株主が株式を有する場合
・基準日後に発行された株式である場合

代理行使

 株主は、代理人によって、その決議権を行使することができます。
 これは株主の決議権行使を容易にし、その行使の機会を保障するためです。

書面投票

 株主の数が1000人以上の会社では、書面によって議決権を行使することを認めなければなりません。

電子投票

 株主総会に出席しない株主に、電磁的方法での議決権行使を認めることができます。

議決権の不統一行使

 株主は、議決権を統一しないで行使することができます。これは、株式信託などの場合、実質的に複数の株主に権利が帰属するためです。このような場合以外の不統一行使を、会社は拒むことができます。

決議方法

普通決議

 議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、議決権の過半数(決議要件)で決議する。ただし、定款の定めにより、定足数・議決要件を変更できます。

特別決議

 議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、議決権の3分の2以上(決議要件)で決議します。定款で、定足数は、3分の1以上の範囲で、軽減・過重することができます。
 決議要件は、3分の2以上に過重のみすることができます。その他の要件を、さらに加えることも定款で定めることができます。
 株主総会の特別決議事項は、以下の通りです。
・譲渡制限株式を会社が買取る際の買取事項の決定、指定買取人の指定
・株主との合意による自己株式の有償取得の場合の取得事項の決定
・全部取得条項付種類株式の取得に関する決定
・株式併合
・募集株式の事項の決定
・募集株式の事項の決定の委任
・株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合
・募集株式の割当て
・累積投票により選任された取締役の解任
・監査役の解任
・役員等の会社に対する損害賠償責任の一部免除
・資本金の額の減少
・定款の変更
・事業の全部の譲渡
・事業の重要な一部の譲渡
・事業の全部の譲受け
・事業の全部の賃貸
・事後設立
・解散
・解散した会社の継続
・組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転についての規定により株主総会の決議を要する場合

特殊決議

 特殊決議のうち、会社法309条3項に関連するものの場合、株主の半数以上で(頭数要件)議決権の3分の2以上が必要です。
 この決議が必要な場合には以下のものがあります。
・全部の株式の内容として譲渡制限の定款の定めを設ける場合
・公開会社が、消滅会社・完全子会社になる場合で、対価として譲渡制限株式を交付する場合の契約の承認等
 また、会社法309条4項に関連するものの場合、株主の半数以上で(頭数要件)議決権の4分の3以上が必要です。
 この決議が必要な場合には以下のものがあります。
・株主の権利について、株主ごとに異なる取り扱いを行う属人的な定款の定めを設ける定款変更の決議

決議の省略

 総会の決議事項について、議決権を行使できる株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項を可決する旨の決議があったものとみなされます。

議事

説明義務

 取締役・会計参与・監査役・執行役は、株主から特定の事項について説明を求められた場合、必要な説明をしなければなりません。
 ただし、以下の一定の場合には、取締役は、説明を拒否することができます。

株主総会議事録

 株主総会の議事について、議事録を作成しなければなりません。そして、株主総会の日から10年間、議事録を本店に備え置く必要があります。
 株主および債権者は、営業時間内はいつでも、総会議事録の閲覧・謄写の請求をすることができます。
 親会社の社員は、その権利を行使することが必要なときは、裁判所の許可を得て、子会社の株主総会議事録の閲覧・謄写を請求することができます。

株主総会決議の瑕疵の主張方法

 株主総会の決議に手続上または内容上の瑕疵がある場合には、そのような決議は違法な決議であって、原則として無効となります。
 しかし、決議が有効かどうかは会社、株主、取締役などの者の利害に影響を与えるので、これを一般原則による処理にゆだねることは法的安定性を害し適当とはいえません。
 そこで、法律関係を画一的に確定し、瑕疵の主張をできるだけ制限する必要があります。
 そこで、会社法は、瑕疵の程度に応じて、以下の訴えの制度を定めています。

決議取消の訴え

 決議取消の訴えとは、比較的軽微な瑕疵のある決議について、一応有効としつつ、取消判決により、その決議のときにさかのぼって無効とすることを目的とする形成訴訟です。
 決議取消自由には以下のものがあります。
・招集手続きまたは決議方法の法令・定款違反、または著しく不公平なとき
・決議内容の定款違反
・特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議
 また、決議取消の訴えは、
・株主
・取締役
・監査役
・清算人
 が3ヶ月以内に提訴する必要があります。
 法的安定を図るため、決議取消判決は、確定すると、当事者以外の第三者に対しても効力を生じます。これを対世効といいます。
 また、決議取消判決により、その決議は、決議時にさかのぼって無効となります。これを遡及効といいます。

決議不存在確認の訴え

 決議不存在確認の訴えとは、決議の内容が法令に違反する場合の訴えです。この場合は、決議は当然に無効となります。そのため、一般原則により、いつでも誰でも主張できます。

議決無効確認の訴え

 議決無効確認の訴えとは、決議の手続き的な瑕疵の程度が著しく、そのために決議が法律上存在すると認められない場合の訴えです。

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