商法とは?

 商法とは、商人の営業、商行為などについて定めた法律をいいます。
 商行為などに関して、商法に規定がない場合には慣習法である商慣習に従います。その上で商慣習にも規定がない場合には民法が適用されます。

商法と民法の関係

 商法は、民法と同じように私人と私人との関係を規律しています。国家と私人との関係を規律する法律を公法というのに対して、私人と私人の関係を規律する法律を私法と呼びます。
 私人と私人との関係を規律する基本的な法律は民法です。しかし、商行為に関しても民法と同じ規律を適用すると商取引などが煩雑になり不自由になる場合があります。そこで民法の中で例外的な規律を設けたものが商法になります。
 民法と商法の規律が競合する場合がありますが、この場合は商法が優先して適用されることになります。

商法総則

 商法総則とは、形式的には商法の第一編「総則」を指します。
 総則とは、ある法律における全体に通用する一般的・包括的な規定をいいます。つまりは、その法律における大前提となる取り決めです。
 商法だけでなく、民法や刑法などにも総則は存在します。しかし、商法総則に関しては、商法典における総則としての役割を果たしている条文はわずかです。
 商法総則には、以下の規定が置かれています。
・第1章「通則」
・第2章「商人」
・第3章「商業登記」
・第4章「商号」
・第5章「商業帳簿」
・第6章「商業使用人」
・第7章「代理商」
・第8章「雑則」

商人

 商法における商人とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいいます。これを「固有の商人」といいます。
 ただし、商人には「擬制の商人」も存在します。擬制とは、ある特定の事実が認められる場合に本質的には性質の異なる他の法律効果と同一の法律効果を認めることいいます。
 以下の場合などは、商行為を行わない者であっても擬制の商人とみなされます。
・店舗その他これに類似する設備によって物品を販売する者
・鉱業を営む者
・会社

商業登記

 商業登記とは、商法などに規定された商人の一定の事項について公示するために、商業登記簿に記載することをいいます。
 商人と取引する第三者は、その商人について取引上の重要な事項について知らなければ安心して取引ができません。このような公示の要請に応えるのが商業登記制度なのです。
 商業登記と善意の第三者への対抗については以下の通りです。

登記前の場合

 登記すべき事項は実体が生じているものであっても、登記前には善意の第三者に対抗できません。

登記後の場合

 登記すべき事項について登記がなされた後であれば善意の第三者にも対抗できます。これは登記によって、第三者が登記された事項を知っているものとみなされるからです。ただし、登記の後であっても、第三者が正当な事由によって善意の場合には、第三者に対抗できません。

真実とは違う登記をした場合

 真実とは異なる登記をした場合は、それが故意か過失に関わらず善意の第三者に対抗できません。

会社法の登記の場合

 会社法の登記に関しても、会社法908条により上記と同様に規定されます。

商号

 商号とは、商人が営業を行う際に自己を表示するために使用する名称をいいます。

商号の選定

 商人は、その営業の実体にかかわらず、自由に称号を選定することができます。これを、商号選定自由の原則といいます。
 ただし、誰であっても、不正な目的をもって他の商人であると誤認させるおそれのある名称や商号は用いることはできません。

会社の商号

 会社の商号については、以下の規定があります。
・会社は、その名称が商号となります
・会社は、その種類に従って商号中に株式会社・合名会社・合資会社・合同会社という文字を用いなければなりません
・誰であっても、不正な目的をもって他の商人であると誤認させるおそれのある名称や商号は用いることはできません。

名板貸

 名板貸とは、商人が他人に自己の商号を使用して営業することを許諾することをいいます。
 自己の商号の使用を他人に許諾した商人は、誤認して取引をした者に対し、連帯して債務の弁済責任を負います。ただし、営業主と誤認するについて重大な過失があつた者に対しては責任を負いません。

商号の譲渡

 商人の商号は、営業とともに譲渡する場合、または営業を廃止する場合に限り、譲渡することができます。
 また、譲渡された商号は、登記すれば第三者に対抗できます

商業使用人

 商業使用人とは、雇用契約により特定の商人(営業主)に従属し、その商人の営業について補助する者をいいます。
 支配人がこれにあたります。
 商業使用人は企業の営業について補助する者です。しかし、営業組織の外部で独立の営業者として補助する代理商、仲立人、問屋等とは区別されます。また、会社の機関である取締役は商業使用人に含まれません。

支配人

 支配人とは、営業主に代わってその営業に関する権限(包括的代理権)を有する商業使用人をいいます。支店長がこれにあたります。
 営業主が、支配人に有する代理権に制限を加えても、この制限をもって善意の第三者に対抗することはできません。
 支配人は競業避止義務を守らなければなりません。競業避止義務によって、支配人は以下のことが禁じられています。
・自ら営業を行うこと
・自己または第三者のために営業主の営業の部類に属する取引をすること
・他の商人・会社の使用人になること
・会社の取締役・執行役・業務執行社員となること

代理商

 代理商とは、代理商は商人のためにその平常の営業(事業)に属する取引の代理、また媒介をする者であり、その商人の使用人でない者をいいます。
 代理を業とする者を締約代理商、媒介を業とする者を媒介代理商と呼びます。
 代理商は、商業使用人ではなく、独立の商人です。
 本人とは委任または準委任契約関係にあります。
 代理商は、競業避止義務により本人の承諾がない限り以下のことはできません。
・自己または第三者のために本人の営業の部類に属する取引をすること
・本人の営業と同種の事業を行う会社の取締役・執行役・業務執行社員になること

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