行政指導

 行政指導とは、行政機関が、その任務・所掌事務の範囲内で行政目的を達成するために、特定人に対して、助言、指導、勧告などの手段です。
 一定の作為または不作為についての任意の協力を求める行政作用となります。
 行政指導は非権力的な事実行為であり、私人に対して法的拘束力を有するものではありません。よって、法律の根拠は不要です。
 行政指導が書面で公示される場合、行政指導に従わなかった者の氏名が公表されるという条例が定められている場合でも、法的拘束力はなく、法律の根拠は不要です。

行政指導の機能

 行政機関は日常的に生じる様々な行政課題の解決を任務とします。しかし、これに的確に対応するための法令が常に用意されているとは限りません。こうした行政課題に迅速かつ柔軟に対応するためには、法的根拠を要しない行政指導は不可欠の手段といえます。
 また、法的あるいは内部の煩雑な手続を避けられる、相手方との無用な摩擦を避けられるなどのメリットから、行政指導が好んで用いられる場合もあります。
 しかし、それにはデメリットも生じます。こうした相手方の納得とは、現実的には建前であることも少なくありません。例えば、事業者とその監督官庁、許可などの申請者と許可官庁といった関係においては、相手方は報復的な取扱いをおそれるかもしれません。それにより、行政指導を拒むのが困難となります。
 また、行政目的の実現を急ぐ行政機関が監督処分の発動をほのめかしたり、申請の審査を長引かせるなど意図的に圧力をかけることもありえます。
 もしも相手方が行政指導を拒めないとすると、行政指導の名の下に行政機関が法的根拠のないままに相手を意のままにしようとしかねません。これは法治自治の空洞化に繋がるおそれがあります。
 行政指導は、形式・手続についてのルールがなく、密室で行わることが多いため、恣意的かつ無責任なものになりがちです。そのため、我が国での行政指導のあり方は内外から批判されています。

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