即時強制

 即時強制とは、義務を命ずることなく、直ちに、直接に国民の身体や財産に実力を加え、行政上の必要な状態を作り出す作用をいいます。
 即時強制には、法律上の根拠が必要です。例えば、警察官職務執行法に基づく泥酔者の保護や、消防法に基づく、延焼のおそれのある対象物の破壊などがこれにあたります。
 即時強制は、事実上の行為であり(不利益処分に当たらない)、行政手続法の規制を受けません。

即時強制の根拠

 即時強制には、すべて法律的な根拠が必要です。例えば、警察官が行う即時強制については警察官職務執行法に定められています。それ以外の法律にも、必要に応じ、身体に関する強制、家宅や財産に対する強制を認める様々な規定があります。
 即時強制は、国民の自由や財産に対する即時かつ重要な侵害行為です。そのため、それをなしうる要件は厳密に規定されている必要があります。その限度を超えた行為に対しては、正当防衛も成り立ちますし、場合によっては損害賠償も請求できます。
 しかし、権利の保障のためには単に行政実体法するだけでは十分ではありません。手続の上でも国民の権利を保障するための用意が必要です。それらの定めが、憲法33条、35条の趣旨に照らし合わせて必要なのは疑いようがありません。しかし、即時強制の中には緊急の措置を要する場合もありえます。よって、令状主義に適さない場合があることは認めざるを得ず、この原則がどこまで及ぶかについては問題があります。

行政上の強制執行と即時強制の違い

 即時強制を理解するのには、行政上の強制執行との違いを念頭に置くとわかりやすいかもしれません。
 まず、強制執行とは私人が義務を怠った場合に行われます。私人間においては、義務を怠った相手に対して自らが執行することは禁止されています。執行のためには、裁判所の確定判決に基づいていなければなりません。ところが行政は裁判所の力を借りずに、法的根拠があるならば自らその履行を強制できる場合があります。これが強制執行です。
 一方、即時強制は緊急性がある場合に相手方に義務を課すことなく、行政機関がその場で国民の身体・財産に実力を加えます。つまり、即時強制は、相手方の義務の不履行を前提としていないのです。

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