行政法とは?

 行政法とは日本国で施行されている法律の中で、特に行政の活動について規定したものを指す言葉です。
 行政法はあくまで多くある法律の中から、行政に関わるものをまとめたものであり、行政法という名の統一法典は存在しません。つまり、六法全書を開いても、「行政法」という項目があるわけではないのです。

「行政」とは何か?

 行政とは、国や地方公共団体によって行われる活動やサービスのことをいいます。
 例えば、水道の供給、ゴミの収集、バスや電車など公共交通手段の運営など、行政の活動は多様です。
 学術的に行政というものを定義しようとする場合、控除説と積極説という二つの考え方があります。
 控除説とは、行政を「国家作用の中から立法作用と司法作用を控除したもの」と定義する考え方です。
 一方で積極説とは、行政を「法の下に規制を受けながら、現実具体的に国家目的の積極的実現を目指して行われる全体として統一性をもった継続的な形成的国家活動」と定義する考え方です。

行政法の基本原理

 行政全般にわたる基本原理として、法律による行政の原理(法治主義)があります。
 法律による行政の原理とは、行政権の行使が、国会が制定する法律に基づいて行われることを要求する原理・原則をいいます。
 法律による行政の原理は、具体的には以下のものがあります。

法律の優位

 行政活動は、法律の定めに違反して行ってはならない。

法律の留保

行政活動には、根拠となる法律の存在が必要。

法律の法規創造力

 国民の権利・義務など一般規律(法規)を創造する力は、国会が制定する法律に独占される。

行政法の法源

 行政法の法源は、成分法源と不文法源の2つがあります。
 日本国においては、成文法が中心であり、不文法は成文法を補充するものとなります。

公法と私法

 公法とは、国、または地方公共団体とその構成員(国民、住民)との関係について定めた法律をいいます。
 これに対して、私法とは、個人相互の私的生活関係について定めた法律をいいます。
 この分類では、行政法は公法に属することになります。
 ここで問題となるのが、公法と私法はいかなる場面において適用されるかです。
 私法を適用するか否かが問題となった判例には、以下のようなものがあります。

私法を適用したもの(適用余地を残したもの)

・現金出納の権限を有しない地方公共団体の長の借入金受領行為には、民法110条が類推適用される
・公営住宅の利用関係には、民法及び借地借家法の適用がある
・金銭の給付を目的とする国の権利及び国に対する権利は、会計法の適用はなく、民法167条1項が適用される
・租税滞納処分としての土地の差し押さえには、民法177条が適用される
・地方議会議員の報酬請求権は、譲渡し得る
・課税処分は、信義則の法理によって違法なものとして取り消され得る
・独占禁止法に違反した契約の私法上の効力は、直ちに無効とならない
・公共団体の工場誘致施策が変更されたことにより損害を被った者は、信義則違反などを理由として、公共団体の不法行為責任を追及できる

私法の適用余地を認めなかったもの

・防火地域内にある耐火構造の建築物の外壁一について定める建築基準法65条の規定は、民法234条の適用を排除する
・生活保護法に基づき要保護者が国から生活保護を受ける権利は、財産的権利であるものの、他者に譲り渡すことはできず、相続の対象ともならない

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