民法における扶養

 扶養とは、ある人の生活を維持するために、一定の親族関係にあるものがなす経済的給付をいいます。
 扶養の対象となるのは、老幼、心身の障害、疾病、貧困、失業などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者です。

扶養義務者

 私的扶養の義務を負う者を民法は次のように規定しています。
 まず、直系血族および兄弟姉妹は相互に扶養義務を負担するとされています。
 特別の事情があるときは、三親等内の親族の間でも扶養義務を負わされることがあります。これについて家庭裁判所が扶養を命じる審判をした後に、例えば義務者が倒産、失業、病気などで義務の履行が困難なるなどの事情がある場合には審判を取り消せます。

扶養の順位

 扶養義務者は、一般に複数存在する場合が多くなります。多数の扶養義務者がいる場合にどのような順位で義務を負うかについて規定はありません。まずは当事者同士で協議して決めるのが原則です。
 協議がまとまらない場合、あるいは協議自体ができない場合は家庭裁判所で審判を定めることになっています。また、扶養を受けるべき者が複数人いて、扶養義務者の資力が不足する場合も同様に決定されます。

扶養の程度と方法

 扶養の程度と方法も当事者の協議で決定するのが原則です。この協議がまとまらない、あるいは行いない場合は家庭裁判所が決定します。
 扶養の程度には、以下の2種類の基準があるとされています。

生活保持義務

 配偶者と未成熟子に対する扶養義務は、自己の生活の一部として、一杯の碗を分けあってでもその生活を保持すべき義務となります。

生活扶助義務

 親、兄弟姉妹と成熟した子に対する扶助義務は、自分の家族の生活を相当水準で維持した上で余力がある限りで扶助すれば足りる義務となります。

過去の扶養料の請求

 本来扶養義務を負うものが義務を履行できないまま時間が経過した場合、扶養権利者は過去の扶養義務を請求できるかが問題となります。
 扶養料は現実の生活の援助のためのものです。援助がないままでも生活な成り立った以上はもはや扶養料は請求できないと考えられた時代もありました。しかし、やむ得ず他人から借り受けて急場を凌いだときは返済せざるをえません。また、義務の免れ得を許すと、正直に履行する者との間に不公平が生じます。そこで、現在では過去の扶養料請求を認めるのが通説となっています。
 また、本来扶養義務者が義務を履行しないうちに、他の扶養義務者や第三者がこれに代わって扶養をしてきた場合には、求償を認めるのが通説です。

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