不法行為

 不法行為とは、他人の権利ないし利益を違法に侵害する行為をした加害者に対して被害者の損害を賠償すべき債務を負わせる制度をいいます。
 不法行為には、一般不法行為と特殊不法行為があります。
 不法行為の趣旨・機能は以下の通りです。
・被害者の救済
・損害の公平な分担
・将来の不法行為の抑止

一般不法行為

 一般不法行為とは、民法709条で定められている原則的な不法行為をいいます。
 故意または過失によって他人の権利・利益を侵害した場合にその損害賠償義務を負います。

 一般不法行為の成立要件は以下の通りです。

原告側に立証責任があるもの

・故意・過失
・権利侵害(違法性の存在)
・損害の発生
・侵害行為と損害発生との間に因果関係があること

不法行為責任の不成立を主張する被告側の抗弁事由であるもの

・責任能力
・違法性阻却事由がないこと

 不法行為に基づく損害賠償についての規定は以下の通りです。

賠償の方法

 原則として、損害賠償は金銭により行われます。
 例外として、名誉毀損の場合には、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償の代わりに、あるいは損害賠償とともに名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます。

損害賠償の範囲

 416条の規定は不法行為にも類推適用されます。

損害賠償の請求権者

 被害者が生きている場合、被害者は自己が受けた損害について損害賠償ができます。
 被害者が死亡している場合、被害者の相続人は、損害賠償請求と慰謝料請求権を相続できます。また、被害者の近親者も、自己が受けた損害(精神的損害を含む)を損害賠償請求できます。

過失相殺

 不法行為について被害者側にも過失が認められる場合、損害賠償額は減額調整されます。これを過失相殺といいます。

損害賠償請求権の消滅時効

 損害賠償請求権の消滅時効は以下の通りです。
・被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間
・不法行為が行われた時から20年間

特殊不法行為

 特殊不法行為とは、立証責任の転換や無過失責任の規定が設けられるなど一般不法行為における原則が修正された不法行為をいいます。

 民法上の特殊不法行為には以下のものがあります。

監督義務者の責任

 責任無能力者がその責任を負わない場合、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。
 ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りではありません。

使用者責任

 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。
 ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りではありません。

注文者責任

 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負いません。しかし、注文または指図についてその注文者に過失があったときは、責任を負わなくてはなりません。

工作物責任

 土地の工作物の設置また保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。
 ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければなりません。

動物占有者の責任

 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負います。
 ただし、動物の種類および性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りではありません。

共同不法行為

 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負います。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様です。

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