委任契約

 委任契約とは、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手に委託し、相手(受任者)がこれを承諾することで成立する契約です。
 原則としては、無償、片務、諾成契約です。しかし、例外的に報酬支払の特約があれば、有償、双務、諾成契約になります。

受任者の義務

 委任契約における受任者の義務には以下のものがあります。

善管注意義務

 受任者は委任の事務処理を遂行する際に、受任者の職業や社会的地位などから考えて普通に要求される程度の注意をもって委任事務を処理しなければなりません。

自ら事務を処理する義務

 委任契約は当事者の信頼関係を根幹とします。したがって、受任者は原則として自ら事務を処理する義務を負います。
 なお、履行補助者として他人を用いることはできます。

報告義務

 受任者は、委任者の請求があった場合や委任契約が終了した場合に事務処理の経過を報告する必要があります。

受取物等引渡義務

 受任者は、委任された事務を処理することで取得した金銭などの物と果実を委任者に引き渡さなければなりません。

取得権利移転義務

 受任者は委任者のために自分を主体として取得した権利も委任者に移転しなければなりません。

金銭消費の責任

 受取物等引渡義務の対象となる金銭や委任者のために使うべき金銭を自分のために消費した場合には、消費した日からの利息支払と損害賠償しなければなりません。

委任者の義務

 委任契約において委任者には以下を義務を有します。

費用前払義務

 委任事務の処理に費用を要する場合、委任者は受任者の請求により費用を前払をしなければなりません。

費用償還義務

 受任者が委任事務の処理に必要と認められる費用を支払った場合、委任者は、その立替費用及び支出日以後の利息の償還に応じなければなりません。

債務代弁済義務

 受任者が委任事務の処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者はその弁済に対する請求に応じなければなりません。

担保供与義務

 債務の代弁済の場合において、債務が弁済期にないときは、委任者は相当の担保を負うことになります。

損害賠償義務

 受任者が事務処理にあたって損害を被った場合、受任者に過失がなければ委任者はその賠償をしなければなりません。
 この責任は無過失責任であり、委任者は自己に過失がなくても損害賠償義務を負います。

報酬支払義務

 有償委任の特約がある場合、委任者は受任者に対して報酬を支払う義務を負います。

委任契約の終了原因など

 委任契約が終了する原因には、以下のものがあります。

無理由解除

 委任契約は、委任者、受任者のいずれからでも、特別の理由がなくても自由に解除できます。ただし、当事者の一方が相手方にとって不利な時期に解除した場合は、原則として相手方に損害賠償をしなければなりません。
 例外的に、不利な時期に解除したことが解除者にとってやもを得ない場合、賠償の必要はありません。

死亡、破産手続開始、後見開始

 委任契約は委任者と受任者の間の信頼関係を基礎としています。よって、委任者または受任者の死亡、破産手続開始の決定、受任者の成年後見人開始の審判によっても終了します。

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