賃貸借契約

 賃貸借契約とは、賃貸人が目的物の使用・収益を賃借人にさせ、賃借人が対価を支払う契約をいいます。
 有償、双務、諾成契約です。

敷金

 敷金とは、契約期間中に発生する賃料など一切の債務の担保のために預ける金銭をいいます。敷金は、契約終了後に、目的物の明渡義務履行までに生じる賃借人を義務を控除した残額が返還されます。
 賃貸借契約は、諾成契約なので当事者の合意だけで成立します。ただし、実際には不動産賃貸借契約の場合、敷金などの授与が行われるのが通常です。
 敷金返還請求権の発生時期は、明渡しが完了した時点です。

存続期間

 日本の民法は、賃貸借契約の規定は以下の通りです。
・存続期間は最長で20年
・もし、契約でそれ以上の期間を定めていても、20年が限界
・最短期間についての期限は特に定められていない

賃貸人の義務

 賃貸借契約における賃貸人は以下の義務を負います。

使用収益させる義務

 賃貸人には、目的物を使用および収益させる義務があります。これは、賃貸人の最も基本的な義務となります。

修繕義務

 賃貸人は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う。
 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができません。

必要費償還義務

 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができます。

有益費償還義務

 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、その償還をしなければなりません。
 ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができます。

担保債権

 賃貸借契約は有償契約ですので、売買契約の規定が準用されます。つまり、賃貸人も売主同様に、担保責任を負います。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りではありません。

賃借人の義務

 賃貸借契約における賃借人は以下の義務を負います。

用法遵守義務

 賃借人は契約または目的物の性質により定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければなりません。

賃料支払義務

 賃借人には賃料を支払う義務があります。賃料とは賃貸借契約に基づき賃借人が賃貸人に支払う利用料のことです。

目的物の保管義務

 賃借人は目的物の保管を、善良な管理者の注意をもって、目的物の返還まで行わなければなりません。

契約終了時の目的物返還義務

 賃借人は、契約終了時に目的物を原状回復して返還しなければなりません。
 原状回復とは、目的物を契約前の状態に戻すことを意味します。
 通常の方法で使用収益していた場合以上に目的物が傷んでいたときには、それを修復し、あるいはその分の損害を賠償する義務を負います。
 なお、敷金が交付されている場合は、賃貸人は敷金から相殺することができます。

賃貸借の終了原因

 賃貸借契約の終了原因は、以下の通りです。

存続期間の定めがある場合

 期間の定めのある賃貸借においては契約期間が満了すれば終了します。この場合、当事者はその期間内に解約をする権利を留保することも可能です。

存続期間の定めがない場合

 期間の定めのない賃貸借の場合、解約の申入れにより、所定の猶予期間を経過することにより終了します。

 所定の猶予期間については以下の通りです。
・土地の賃貸借については1年
・建物の賃貸借については3ヶ月
・動産及び貸席の賃貸借については1日
 解約の申入れ後直ちに賃借人が目的物を返還したとしても、特約がない限り賃借人は所定の期間分の賃料支払い義務を引き続き負います。

賃借人の債務不履行による解除

 賃借人が賃料を払わない、目的物を壊したなどの債務不履行をした場合、賃貸人は契約を解除することができます。

目的物の滅失・朽廃による使用不能

 目的物の全部が滅失した場合、賃貸借契約が終了します。
 目的物の一部のみが賃借人が責めに帰すべき事由なしに滅失した場合、賃借人は滅失した部分の割合に応じて賃料の減額請求が可能です。ただし、使える部分だけでは、目的が達成できない場合、契約を解除できます。

賃借権の譲渡

 賃借権の譲渡とは、賃借人が第三者に対して、賃借人の地位を移転することをいいます。
 賃借権の譲渡の場合、賃貸人は賃借権を譲受人である第三者に対してのみ請求できます

目的物の転貸

 目的物の転貸とは、賃借人が賃借している目的物を、第三者に又貸しすることをいいます。

 転貸の場合、転借人は賃貸人に対して、賃料を直接支払うなどの義務を負います。
 また賃借人も、賃貸借契約上の義務を負います。したがって、賃貸人は、賃借人と転借人である第三者にも賃料の支払いを請求できます。
 なお、転借人が賃借人に対して、賃料を支払ったとしても、賃貸人が賃料を受け取っていないなら、転借人は賃貸人に対抗できません。

賃借権の対抗要件

 賃貸権の対抗要件は以下の通りです。

民法の原則

 原則として、賃貸借契約の目的物を賃貸人が第三者に譲渡した場合、賃借人は賃貸権を第三者に対抗できません。
 しかし、例外として、目的物が不動産である場合には、登記することで新しい所有者に対しても賃借権の存在を対抗できます。
 ただし、民法では特約がない限り、賃借人は賃貸人に対して登記請求権を持ちません。そこで、制定されたのが建物保護に関する法律や借地借家法です。

借地借家法の特則

 建物所有を目的とする土地の借地人は、借地権の登記がなくても、土地上に登記されている建物を借地権者が所有するときは対抗できます。
 建物の賃借人は借家権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、建物の新しい所有者に借家権を対抗できます。

賃貸人である地位の移転

 賃貸人である人物Aが、不動産を賃借人Bに賃貸したまま、当該不動産をCに売却したとします。この場合、登記といった賃借権の対抗要件がBに備わっていれば、賃貸人である地位はAからCに移転します。
 Cが新たに賃貸人である地位を得たことをBに主張するためには、賃貸目的物の所有権を登記する必要があります。

不法占拠者に対する関係

 賃貸人が賃借人に対して貸している土地が、不法占拠された場合、以下のような手段を用いて不法占拠者を排除することができます。

占有訴権に基づく妨害排除請求

 賃借人が土地を占有している場合は、賃借人は、占有訴権に基づき不法占拠者を排除する請求が可能です。

所有権に基づく妨害排除請求権の代位行使

 賃借人が土地を占有していない場合、賃借人は賃貸人に使用収益の義務の履行を要求できます。これにより、不法占拠者の占有を排除するように請求できます。もし、賃貸人が妨害排除を請求しないときは、賃借人が債権者代位権を転用して、妨害排除請求を代位執行することが可能です。

賃借権に基づく妨害排除請求権

 賃借人が土地賃借権について対抗要件を備えている場合、賃借人は不法占拠者に対して、賃借権に基づく妨害排除請求が可能です。

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