民法における契約

 契約とは、当事者間において締結される法律上の拘束力を持つ合意をいいます。
 契約は、申込みと承諾の2つの意思合意が合致することによって成立します。
 もし、申込みと承諾がその場でなされるのでない場合(これを「隔地者間の契約」といいます)、申込みの意思表示は、その通知が相手方に到達したときに効力を生じます。申込みへの承諾は通知を発信したときに契約が成立します。

契約の分類

 契約は、その形態のありかたによって、様々な分類の仕方があります。
 代表的な分類の仕方は以下の通りです。

典型契約と無名契約

 典型契約とは、民法に規定されている4分類・13種類の契約をいいます。
 一方で、無名契約とは、典型契約以外の契約をいいます。

双務契約と片務契約

 双務契約とは、契約当事者の双方が対価的性質を有する債務を負う契約をいいます。
 債務が対価的性質を有するかは当事者の主観により定まります。
 双務契約には、成立の牽連性、存続の牽連性、消滅の牽連性といった特殊の効力があります。
 一方で片務契約とは、契約当事者の一方のみが対価的性質を有する債務を負っている契約です。

有償契約と無償契約

 有償契約とは、契約の全ての過程において対価的な性質を、経済的負担のある契約です。有償契約は、原則として売買契約の規定(担保責任など)が準用されるため、両者を区別する実益があります。
 一方で無償契約とは、対価的な性質をもつ経済的負担が存在しない契約です。無償契約は有償契約に比べて注意義務が軽減される場合が少なくありません。原則として担保責任も負いません。

諾成契約と要物契約

 諾成契約とは、当事者の合意だけで、契約目的物の交付を必要とせず成立する契約です。日本の民法では、契約自由の原則から、契約は当事者の合意のみで成立する諾成契約が原則となります。
 一方で要物契約とは、当事者の合意だけでなく物の引渡しを必要とする契約です。践成契約あるいは実践契約ともいいます。

3つの牽連性

 双務契約においては、各当事者の債務が対価的な依存関係にあります。そこで、契約を交わした両者間の債務の関係が問題となります。この関係のことを牽連関係(牽連性)といいます。
 牽連性は以下の3つのレベルで問題となります。

成立上の牽連性(原始的不能)

 原始的不能とは、双務契約において、債権が成立する前からその履行が不可能であることをいいます。
 双務契約の場合、両債務が対価的関係に立っています。よって、原始的不能であるときは、他方の債務もまた成立しません。

履行上の牽連性(同時履行の抗弁権)

 同時履行の抗弁権とは、双務契約の当事者の一方が、相手方がその債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒めることをいいます。
 同時履行の抗弁権には、双務契約の公平を図り、不要な争いを未然に防ぐ機能があります。
 権利者が、同時履行の抗弁権を行使する意思表示をしなければ、裁判所は、その履行を命じる旨の判決をすることはできません。
 判例によると、同時履行の抗弁権が付着している債権の場合、これを自動債権として相殺することはできないとされます。

存続上の牽連性(危険負担)

 危険負担とは、双務契約において債務者の責めに帰すべき事由によらず債務が履行不能になった場合、対価的関係にある債務が消滅するか否かという問題をいいます。
 なお、危険負担での債権者・債務者という言葉は、消滅した債務についての債権者・債務者を意味します。
 危険負担においては、原則として債務者主義が取られます。債務者主義とは、一方の債務が消滅したとき、他方の債務も消滅することをいいます。
 ただし、例外として債権者主義が取られる場合もあります。債権者主義とは、双務契約において、一方の債務が消滅したとき、他方の債務は存続することをいいます。

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