民法における保証

 保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その債務を主たる債務者に代わって履行するという書面による合意をいいます。
 この義務を保証債務とよび、義務を負う者を保証人と呼びます。
 保証債務を履行した保証人は、主たる債務者に対して求償権を取得します。
 保証人の保証債務と区別するため、債務者を「主たる債務者」、主たる債務者の負う債務を「主たる債務」といいます。

保証の成立要件

 保証債務は債務者と保証人との間の保証契約によって成立します。
 保証契約は、書面でなければ、その効力を生じません。ちなみに、電磁気的記録によって契約がなされた場合は、書面によってされたものと見なされます。

保証債務の性質

 保証債務には以下の性質が存在します。

同一内容性

 保証債務は、あくまで主たる債務を担保とする債務です。ゆえに、その内容は主たる債務と同一のものとみなされます。

付従性

 附従性とも書きます。保証債務における付従性は以下の通りです。
・主たる債務が成立しなければ保証債務は成立しない
・保証債務は、その内容が、主たる債務より軽くなるのはよいが、重くなってはいけない
・主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する

随伴性

 主たる債務に対する債権が債権者から第三者に移転すれば、保証債務も一緒に移転します。

補充性

 保証人は、主たる債務者が債務を履行しないとき初めて、債務保証を履行することになる。

保証債務の範囲

 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償のほか、債務に従たるすべてのものを含みます。
 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金・損害賠償額を約定することができます。

保証債務の抗弁権

 保証債務には、以下の抗弁権が認められています。

催告の抗弁権

 債権者が最初から主たる債務者に請求せず、いきなり保証人に請求してきた場合、まずは主たる債務者に債務の弁済を求めるように抗弁できる権利をいいます。これにより、保証人は、主たる債務について一時的責任を負わされることを回避することができます。

検索の抗弁権

 主たる債務者が債務を(たとえ一部であっても)履行できるだけの資力を有しており、かつ執行が容易であったとします。この場合、そのことを証明すれば、保証人は債権者からの請求を拒むことができます。

保証人の相殺権

 主たる債務者が債権者に対して持っている債権を相殺すれば、保証人は債権者に対抗できます。

主たる債務者について生じた事由の効力

 原則として、主たる債務者について生じた事由の効力は、付従性により全て保証人に及びます。
 しかし、主たる債務が保証契約後に増額された場合、保証債務は影響を受けません。
 また、主たる債務における消滅時効が完成した場合、主たる債務者が時効の利益を放棄しても、保証人は独自に時効を援用できます。

保証人について生じた事由の効力

 主たる債務を消滅させる行為(弁済、代物弁済、供託、相殺、更改)は主たる債務者に影響を及ぼします。
 しかし、それ以外の請求、通知などの行為は主たる債務者に影響を及ぼしません。

保証人の請求権

 保証人は債務について最終的な責任を負うわけではありません。したがって、保証人が債権者に対して債務を肩代わりで弁済した場合、主たる債務者に対して求償できます。
 債務者から委託を受けて保証人となった場合、保証人は保証債務の弁済後

主たる債務者からの委託を受けて保証人となった場合

 保証人は、肩代わりした債務の全部について主たる債務者に求償することができます。
 この場合、求償できる範囲は、法定利息、必要となった費用、及び損害賠償まで含みます。
 また、保証債務の弁済後では回収できなくなるおそれがある場合、保証人は、保証債務を履行する前でも、あらかじめ主たる債務者に求償することができます。これを事前請求権といいます。

主たる債務者からの委託を受けずに保証人となった場合

 保証人は、肩代わりで弁済した当時、主たる債務者が利益を受けた限度で求償できます。
 この場合の求償権は、不当利得返還請求権ないし事務管理の費用償還請求権と同じ法的性質を帯びます。

主たる債務者の意思に反して保証人となった場合

 保証人は、求償の時点で主たる債務者が利益を受けている限度で求償できます。

特殊な保証

連帯保証

 連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証です。
 連帯保証では、主たる債務の債務者が弁済できない場合に二次的に履行の義務を生じるという性質(補充性)が認められません。つまり、催告の抗弁権と検索の抗弁権がないのです。
 連帯保証人について生じた一定の事由は、主たる債務者に効力を及ぼします。ただし、連帯保証人には負担部分がないので、負担部分の存在を前提とする一部の規定は提要されます。

共同保証

 共同保証とは、1つの主たる債務に対して、保証人が2人以上いる保証をいいます。
 保証人の間に連帯のない通常の共同保証では、各保証人は債権者に対して均等に分割された保証債務の部分についてのみ債務を負担します。例えば、1500万円の債務について、保証人が2人いる場合は750万円ずつ、保証人が3人ならば500万円ずつ保証することになります。

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