詐害行為取消権

 詐害行為取消権とは、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為について、債権者が取消を裁判所に請求できる権利をいいます。

詐害行為取消権の要件

 詐害行為取消権を行使しようとする場合、以下の要件が満たされなくてはなりません。

財産権を目的とする法律行為であること

 詐害行為取消権の対象になるのは、債務者のした法律行為のうち、財産権を目的とするものに限られます。よって、相続放棄・承認、婚姻、養子縁組など、財産権を目的としない法律行為は取消しできません。

債務者が無資力であること

 債務者が、法律行為時・取消権行使時の両方で無資力であることが必要です。これは、債務者に対する不当な干渉です。

被保全債権は金銭債権であること

 被保全債権は金銭債権であることが必要です。
 ただし、特定物引渡請求権であっても、その目的物を債務者が処分することにより無資力となった場合、特定物の債権者はその処分行為を詐害行為として取り戻せると考えられます。

被保全債権は詐害行為前に発生したこと

 被保全債権は詐害行為前に成立していることが必要です。ただし、詐害行為のときに、弁済期にあることは不要です。

債権者と受益者の両方が、債権者を害することを知っていた

 債務者・受益者の双方が、債権者を害することを知っていた必要があります。ただし、積極的に債権者を害す意図までは必要ではありません。

詐害行為取消権の範囲

 詐害行為取消権は、原則として取消権者の被保全債権額の範囲に限られます。
 ただし、詐害行為の目的物が不可分な場合、債権額の範囲を超えて全体について取消しが可能です。

詐害行為取消権の消滅時効

 詐害行為取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から2年間行使されなければ、時効によって消滅します。ただし、債権者が、詐害の客観的事実を知っても詐害意思があることを知らなければ、消滅時効は進行しません。
 また、行為の時から20年を経過したときも時効によって消滅します。

詐害行為取消権の効果

 詐害行為取消権の行使は、裁判上行使しなければいけません。
 また、詐害行為取消権の行使の効果は、総債権者の利益のために生じます。取り戻された財産は、債務者の責任財産として回復され、総債権者の共同担保となります。

取消債権者の事実上の優先代弁権

 詐害行為取消権の対象が物や金銭である場合、債権者は直接自己への引渡しを請求できます。これにより、事実上の優先弁済を受けたことになります。
 これに対して、不動産の場合、債務者の下に登記を戻すだけで済むため、受領拒否は考えられません。よって、直接債権者に登記を移転する請求はできません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする