弁済の提供

 弁済の提供とは、債権者が単独で弁済を実現できない債務について、債権者の協力を求めることをいいます。
 ほとんどの債務は、受領など債権者側の協力がないと履行は完了せず、債務は消滅しません。
 債権者が協力しないために、債権者が履行遅延の責任を負うのは、債務者にとって酷な話です。そこで、債務者を履行遅滞の責任から解放するものとして、弁済の提供の制度が設けられました。

弁済の提供の要件

 弁済の提供が認められるための要件は以下の2つです。
・債権の本旨に従っていること
・現実の提供、または口頭の提供があること

現実の提供

 現実の提供とは、原則的な弁済の提供の方法です。
 債権者が目的物を受領する以外は何もしなくてもよいほどの提供を、債務者がする場合をいいます。
 債務の種類によって、どこまでの提供かは以下のように変わってきます。

特定物の引渡債務の場合

 その特定物を提供すれば、瑕疵があっても、債務の本旨に従った提供となります。

不特定物の引渡債務の場合

 品質と数量が債務の内容に適合している必要があります。また、瑕疵があった場合は、債務の本旨に従った提供とはなりません。

金銭債務の場合

 遅延利息が生じている場合は、利息分も提供しなければなりません。

口頭の提供

 口頭の提供とは、債務者が現実の提供をするのに必要な準備を済ませ、債権者にその受領を催告することをいいます。
 弁済の提供は、原則として現実の提供を行わなければなりません。口頭の提供が許されるのは例外的な場合です。
 口頭の提供が許される条件は以下の2つです。
・債権者があらかじめその受領を拒んだとき
・債務の履行に、債権者の協力が必要なとき

弁済の提供の効果

 弁済の提供による効果は、以下の6つです。
・債務不履行の責任が発生しない
・双務契約の場合、同時履行の抗弁権がなくなる
・善管注意義務が軽減される
・弁済の増加費用が債権者の負担になる
・危険が移転し、債権者主義になる
・約定利息の不発生

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