弁済

 弁済とは、債務者や第三者が債務の給付を実現する行為をいいます。
 弁済により、債権は目的を達成して消滅します。
 弁済は債権の消滅という視点から見た表現です。債権の実現という視点に着目すると履行と表現されます。

要件

弁済期

 民法412条によれば、弁済期は以下の通りです。
・債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
・債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。
・債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

弁済

 弁済をすべき場所について別段の意思表示ない場合、以下の場所で弁済しなければなりません。
・特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所
・その他の弁済は債権者の現在の住所場所

弁済の費用

 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とします。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者が負担します。

弁済者

債務者

 履行補助者による弁済も、債務者の弁済と見なされます。履行補助者とは、債権者が手足として利用できる従業員のような存在を意味します。

弁済権限を有する者

 弁済権限を有する者とは、法定代理人や任意代理人、あるいは財産管理人などです。

第三者

 債務の弁済は、第三者でも基本的には可能です。しかし、以下の場合は第三者では弁済できません。
・債務の性質上許されない場合(例えば、名演奏家の演奏や労務者の労務など)
・当事者が反対の意思を示した場合
・法的利害関係を有さない第三者の弁済が、債務者の意思に反する場合

弁済受領者

 弁済の効果は、債権者に対してなされないと発生しないのが原則です。
 弁済を受領する権限を有しない者への弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ弁済の効力を有します。
 ただし、債権者であると信頼した弁済者を保護するため、以下の場合には通常の弁済としての効力が認められて債権は消滅します。

債権の準占有者に対する弁済

 相手方にその弁済を受領する権限がない場合、それについて弁済者が善意・無過失であったときに限って通常の弁済としての効力が認められ債権は消滅します
 また、弁済を受領する権限を有する債権者は、弁済を受領する権限がないにもかかわらず弁済を受領した債権の準占有者に対して不当利得返還請求をなすことができます。

受取証書の持参人に対する弁済

 受取証書の持参人に弁済を受領する権限がない場合、それついて弁済者が善意・無過失であったときには弁済としての効力が認められ債権は消滅します。
 また、弁済を受領する権限を有する債権者は、弁済を受領する権限を有しないにもかかわらず弁済を受領した受取証書の持参人に対して不当利得返還請求をなすことができます。

代物弁済

 代物弁済とは、本来の給付と異なる他の給付を実現することによって債権を消滅させることをいいます。
 代物弁済の要件は、以下の通りです。
・当事者間に債務が存在すること
・本来的に負担していた給付と異なる給付が現実になされること
・弁済に代えてなされること
・債権者の承諾があること

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