登記をしなくても対抗できる第三者

 不動産物権変動は、原則として登記という対抗要件を備えなければ第三者に対抗することはできません。ここで問題となるのが「第三者」とは、どこまでの範囲を指す概念なのかということです。
 不動産物権変動における第三者とは、以下の要件を満たす者をいいます。
・当事者もしくはその包括継承人以外の者である
・不動産に関する物権の得喪及び、変更の登記の不存在を主張する正当な利益を有する
 したがって、上記のような正当な利益を有する第三者にあたらない者に対しては、登記をしなくても物権の得喪及び変更を主張できます。

正当な利益を有する第三者にあたらない者

 正当な利益を有する第三者にあたらない者として、以下の者がいます。

不動産登記法5条にあたる者

 詐欺または脅迫によって登記申請を妨げて第三者や、他人のための登記申請義務のある者をいいます。

不法占拠者・不法行為者

 不法占拠者とは、正当な権限もなく他人の不動産を勝手に使用している者です。
 不法行為者とは、他人の家屋を勝手に壊すなどの行為をする者をいいます。

無権利の名義人

 無権利者とは、何も権利を有していない者をいいます。例えば、無効登記の名義人や虚偽表示の相手方です。

前主・後主の関係にある者

 例えば、土地が人物A→B→Cと順次譲渡されたとします。この場合に、まだAに登記があったとしても、AとCは前主・後主の関係にあり対抗関係になりません。なので、Cは、登記がなくてもAに対し自己の所有権を主張できます。

背信的悪意者

 背信的悪意者とは、第三者を害する目的(嫌がらせなど)で取引をした第三者です。このような者に、登記の不存在を主張させると社会秩序の反することになります。よって、背信的悪意者に対しては登記がなくても権利を主張できるとされている。
 ただし、背信的悪意者は登記の不存在を主張することが許されていないにすぎず、全くの無権利者ではありません。そこで、背信的悪意者から不動産を転得した者は、転得者自身が背信的悪意者でない限り、有効に権利を取得することができます。

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