天皇に関する憲法

 憲法1条には、
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」
 とあります。
 日本国憲法において天皇とは、日本国の象徴であり、日本国民総合の象徴であると定められます。

象徴の意味

 象徴とは、抽象的・無形的・非感覚的なものを、具体的・有形的・感覚的なものによって、具体的にイメージできるようにするためのものをいいます。例えば、「平和」という言葉は抽象的・無形的・非感覚的ですが、「鳩」という象徴を用いることで具体的・有形的・感覚的になります。
 このように、「日本国」という一見するとイメージしにくいものを、「天皇」という存在によってイメージしやすくする。憲法1条にある象徴という言葉の意味です。

皇位継承

 憲法2条には、
「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範 の定めるところにより、これを継承する。」
 とあります。
 日本の天皇制は世襲制であり、これは、14条の法の下の平等の例外となります。
 現在の日本位おいては女子の天皇即位を否定していて、男系男子主義を採用しています。

天皇の権能

 憲法3条と4条1項には、それぞれ、
「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」
「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」
 とあります。」
 憲法では、まず3条で、天皇の国事行為について、内閣の助言と承認が必要であることを規定しています。その上で、4条1項で、天皇は国政に関する権能を有しないことを明言しています。
 天皇は国政に関する権能を一切有していません。よって、憲法に挙げられた国事行為しかできません。
 また、天皇の国事行為については、助言と承認をする内閣が責任を負うのであって、天皇は一切責任を負わないことになっています。

天皇の国事行為

 天皇の国事行為には以下のものがあります。

主な国事行為

 憲法7条には、
「第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 二 国会を召集すること。
 三 衆議院を解散すること。
 四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 七 栄典を授与すること。
 八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
 九 外国の大使及び公使を接受すること。
 十 儀式を行ふこと。」
 この規約により、天皇には以下の国事行為を行うことが明らかになっています。
・憲法改正、法律、政令及び条約を公布する
・国会を召集する
・衆議院を解散する
・国会議員の総選挙の施行を公示する
・国務大臣および法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証する
・大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証する
・栄典を授与する
・批准書および法律の定めるその他の外交文書を認証する
・外国の大使及び公使を接受する
・儀式を行う

内閣総理大臣と最高裁判所長官の任命

 憲法6条の1項と2項には、それぞれ、
「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。」
「天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。」
 とあります。
 内閣総理大臣と最高裁判所長官の任命は、天皇の仕事です。

改正憲法の公布

 憲法96条2項には、
「憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。」
 とあります。
 憲法改正において、憲法改正案が国民投票で過半数を得られた場合、改正された憲法は天皇によって公布されます。

皇室経費

 皇室経費とは、天皇・皇族の活動に要する費用をいいます。

国の予算である皇室経費

 憲法88条には、
「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」
 とあります。
 天皇の財産や皇族の財産はすべて国に属します。よって、皇室経費は国の予算に計上されることになります。つまり、国会の議決が必要なのです。

天皇・皇族における財産の譲渡

 憲法8条には、
「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。」
 とあります。
 天皇・皇族が自らの財産を譲渡したり、第三者から財産を譲り受けたりすることにも、国会の議決が必要という制限があります。これは、財産の授受を通じて天皇が不当な影響を持つことを防止することを目的とします。
 ただし、日常的なものについてまで常にその都度、国会の議決が必要なわけではありません。

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