憲法における内閣

 日本において、内閣とは行政権を担当する合議制の機関をいいます。内閣総理大臣と国務大臣で組織されます。
 日本国憲法は、第五章「内閣」において以下のことを定めています。
・内閣に行政権の主体としての地位を認める
・内閣総理大臣に首長としての地位と権能を与える
・国会と政府との関係について議員内閣制をとる

行政権の概念

 憲法65条には、
「行政権は、内閣に属する。」
 とあります。
 ここでいう行政権とは、すべての国家作用のうちから立法作用と司法作用を除いた残りの作用であると解するのが通説です。これは、控除説や消極説と呼ばれます

衆議院の解散

 解散とは、任期満了前に議員の資格を失わせることをいいます。憲法上、解散は衆議院のみに認められます。

 日本国憲法には、内閣の解散権を明示した規定はありません。
 しかし、以下の2つの条文により、内閣には解散権があるものと解釈されています。
 まず、憲法7条3号には、
「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
(中略)
 三 衆議院を解散すること。」
 とあります。
 次に、憲法69条には、
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」
 とあります。
 現在では、憲法7条を根拠に、内閣に実質的な解散決定権が存するとされています。たとえ、内閣の解散が、天皇による国事行為だとしても、助言と承認を与えるのは内閣だからです。
 ただし、憲法7条により内閣に自由な解散権が認められるとしても、解散権は国民に対して内閣の信を問う制度です。よって、解散させるには解散させるにふさわしい理由が必要となります。

独立行政委員会

 独立行政委員会とは、以下の特徴を持つ制度をいいます。
・合議制の行政機関である
・内閣から独立して職務を遂行する
・通常、立法権ないし司法権に準ずる機能を持つ

 独立行政委員会の具体例には、以下のものなどがあります。
・人事院
・中央労働委員会
・公正取引委員会
・公害等調整委員会
・国家公安委員会

 独立行政委員会は、戦後の民主化の過程において、政党の圧力を受けない中立的な立場で行政を行えるように導入されたものです。
 独立行政委員会の任務には以下ものがあります。
・裁決や審決などの準司法的作用
・規則や制定などの準立法的作用
・人事や警察、行政審判などのような政治的中立性が要求される行政作用

 独立行政委員会は、内閣または内閣総理大臣の所轄にあるとされます。しかし、職務を行うにあたっては内閣から独立して活動しています。
 ここで問題となるのが憲法65条との兼ね合いです。
 憲法65条には、
「行政権は、内閣に属する。」
 とあります。
 この規定は、内閣以外の機関が行政権を行使することを禁じているようにも受け取れます。ゆえに、内閣から独立して活動している独立行政委員会が、憲法65条に違反していないかが問題となるのです。
 この点に関して、今日においては、憲法に反しないとすることで学説はほぼ一致しています。ただし、その説明の仕方には争いがあります。

内閣の組織

 憲法66条の1項から3項には、それぞれ以下のような規定があります。
「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」
「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」
「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」
 以上のことにより、内閣の組織とは、内閣総理大臣とその他の国務大臣で組織される合議体であるといえます。
 内閣総理大臣は、行政各部の指揮監督を行います。行政各部の上に国務大臣を配置し、各省の長として行政事務を分割・管理させます。

 内閣構成員の資格には以下の2つがあります。
 内閣構成員に関しては、まず、国務大臣の過半数は国会議員であることが求められます。
 また、内閣総理大臣およびその他の国務大臣は、文民でなければなりません。これは文民統制の原則を徹底させるためです。
 ここでいう文民とは、政府の見解によれば以下の要件を満たす者をいいます。
・旧陸海軍の職業軍人の経歴を持ち、軍事主義的しそうに深く染まっていないこと
・自衛官の職についていないこと
 2つ目の自衛官か否かについては、自衛隊の合憲・違憲論とも関係するので問題がないわけではありません。しかし、文民統制を徹底させようとする意義は認められるとされます。

内閣の総辞職

 内閣の総辞職とは内閣総理大臣及び国務大臣の全員が、同時にその地位を辞することをいいます。
 内閣は、いつでも総辞職することができます。ただし、以下の3つの場合には、内閣は必ず総辞職しなければなりません。
・衆議院での不信任の可決や信任の否決がなされ、10日以内に衆議院が解散しない場合
・内閣総理大臣が死亡、辞職などによりかけた場合
・衆議院議員総選挙の後、初めて国会の召集があった場合

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